【総務省データ】教員の年収は平均いくら?残業代は月214円だった

教員の年収を総務省データで検証した記事のアイキャッチ画像

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「この働き方で、この金額なのか」。給与明細を見ながら、そう思ったことはありませんか。

けれど「教員 年収」で調べても、550万円と書くサイトもあれば690万円と書くサイトもあります。140万円も違う。結局、自分の給料が高いのか低いのか分からないまま、画面を閉じることになります。

私は高校で10年間教員をしたあと、民間企業へ移りました。これまでに100名以上の先生から転職の相談を受けています。

この記事では、他サイトの数字を一切使わず、総務省と国税庁の資料を直接開いて計算しました。

読み終わるころには、自分の年収が全国のどのあたりにいるのか、手当に何が含まれているのか、民間と比べるとき何を見ればいいのかが分かります。

結論は、小・中学校でおよそ657万円、高校でおよそ690万円。ただしその中に、残業代はほぼ入っていません。月214円です。

自分の給料が働きに見合っているのかを判断したい人は、最後まで読んでください。

この記事でわかること
  • サイトごとに数字が違う理由
  • 総務省データの実額
  • 自分の年収を計算する手順
  • 残業代が月214円の意味
  • 民間と比べるときの注意点
悩む先生
自分の年収が高いのか低いのか、いまいち分かりません。比べる相手が見つからなくて。
元教員フジワラ
出どころの確かな数字で比べましょう。印象で話すと、だいたい間違えます。
この記事を書いた人

名前:フジワラ

元教員ブロガー

・大学卒業後、10年間教員を経験
・一般企業転職後IT系フリーランス
・若手教員向けの転職、スキルアップ情報発信
・お金無知からFP2級、簿記3級取得
・100名以上の転職、スキルアップ相談を受ける

目次

教員の年収が調べるたびに変わる理由

教員の年収の数字がサイトごとに違う理由を示すバナー画像

検索して出てくる数字がバラバラなのは、どこかが嘘をついているからではありません。元にしている調査が違い、対象に入れている人が違うからです。ここを分かっていないと、どの数字を信じていいか永遠に決まりません。先にこの仕組みを押さえておくと、後の計算が一気に分かりやすくなります。

小中と高校で金額が違う

まずこれです。小・中学校の教員と高校の教員では、統計上の給料が月に2万円近く違います。

平均年齢も違います。高校の教員のほうが平均年齢が高く、その分だけ給料も上がります。どちらを指して「教員の年収」と言っているかで、結論が変わります。

私立を含めるかどうかでも、また変わります。

使っている統計そのものが違う

教員の給料を調べられる統計は一つではありません。

総務省の「地方公務員給与実態調査」は公立学校の教員が対象です。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」は私立も含みます。どちらを使うかで、同じ年でも金額がずれます。

この記事では、公立学校の教員を知りたい人向けに前者を使います。

手当を含むかどうかで変わる

一番ややこしいのがここです。給与の統計には「給料月額」と「給与月額」という似た言葉が出てきます。

給料月額は基本給だけ、給与月額は手当を足したものです。この二つを取り違えると、年収の計算が数十万円ずれます。

サイトによって数字が違う原因の多くは、これです。

総務省データで見る教員の給与

総務省データによる教員の平均給与を示すバナー画像

ここからは実際の数字です。総務省の「令和6年地方公務員給与実態調査結果」(PDF)から、そのまま引いてきます。令和6年4月時点の、全国の地方公共団体を合計した平均です。加工はしていません。見比べやすいように、学校の先生だけでなく役所の職員の数字も並べます。

小・中学校の教員の平均

小・中学校(幼稚園を含む)の教育職は、平均給与月額411,965円、平均年齢41.5歳です。

内訳は、基本給にあたる平均給料月額が353,632円、そこに足される手当が58,333円です。この基本給には教職調整額が含まれています。

なお、この金額にボーナスは入っていません。4月分として支払われた額だからです。

高校の教員の平均

高等学校(特別支援学校などを含む)の教育職は、平均給与月額433,141円、平均年齢44.7歳です。

基本給にあたる平均給料月額は370,300円です。小・中学校より月に約2万円高くなっていますが、平均年齢も3歳ほど高いので、単純に高校のほうが得だという話ではありません。

私が勤めていたのも高校です。

役所の職員と比べてみる

同じ調査で、役所で働く一般行政職は平均給与月額402,761円、平均年齢42.1歳です。

小・中学校の教員が411,965円なので、月あたりで見ると教員のほうが約9,000円高いことになります。地方公務員の全職種平均は416,075円なので、教員はほぼ平均どおりです。

ここだけ見ると、特別に低いわけではありません。問題はこの後に出てきます。

教員の年収を自分で計算する方法

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月の給与が分かっても、それを12倍しただけでは年収になりません。ボーナスが抜けているからです。ここでは実際の計算手順を書きます。自分の給与明細の数字を入れれば、自分の年収も出せます。なお、ここから先は私の試算です。制度上の正確な金額ではないので、おおよその目安として読んでください。

月給の12倍では出ない

先ほどの411,965円を12倍すると、4,943,580円です。約494万円。

この時点では、よく見る「教員の年収は650万円」という数字と150万円以上の開きがあります。足りない分がボーナスです。

月給だけを見て「思ったより少ない」と感じるのは、この計算を途中でやめているからです。

ボーナスは年4.6か月分

公務員のボーナスは、期末手当と勤勉手当という二つを合わせたものです。令和6年の人事院勧告で、年間4.60か月分に引き上げられました。多くの自治体がこれに合わせています。

計算の元になるのは基本給です。小・中学校の教員なら353,632円。これに4.6をかけると、1,626,707円になります。

実際には地域手当なども計算に入るので、もう少し多くなります。

足すと約650万円になる

月給分494万円とボーナス163万円を足すと、約657万円です。

年収の試算(令和6年データ)
  • 小・中学校教員 約657万円(平均41.5歳)
  • 高校教員 約690万円(平均44.7歳)
  • 計算式 給与月額×12+給料月額×4.6
  • 手取りは2割ほど引かれる

同じ計算を高校の教員ですると、約690万円になります。冒頭に書いた「550万円から690万円まで散らばる理由」は、ここで説明がつきます。どの学校種を指しているか、手当を入れているかの違いです。

なお、ここから税金と社会保険料が引かれます。手取りは2割ほど少なくなると考えてください。ボーナスの金額だけを民間と比べたい人は教員とサラリーマンのボーナス比較もどうぞ。

残業代が月214円という事実

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ここが、この記事で一番お伝えしたい部分です。同じ調査には、手当の内訳も載っています。その中に「超過労働的手当」という項目があります。残業代のことです。教員の欄を見たとき、私は数字を二度見ました。桁を間違えたのかと思ったからです。

役所の職員は月32,828円

まず比較対象から。一般行政職の超過労働的手当は、1人あたり月32,828円です。

年間にすると約39万円。残業をすれば、その分が給料に乗る。働いた時間に対してお金が払われる、ごく普通の仕組みです。

では教員はどうか。

小・中学校の教員は月214円

小・中学校教育職の超過労働的手当は、月214円です。

役所の職員の約153分の1です。年間にすると約2,600円。缶コーヒー十数本分で、1年分の残業代が終わります。

残業をしていないからではありません。残業代という仕組みが、そもそも適用されていないからです。

給特法という法律がある

公立学校の教員には「給特法」という法律があり、時間外勤務手当は支給しないと決められています。代わりに教職調整額が基本給に上乗せされています。

この調整額は長く4%でしたが、2026年1月に5%へ上がり、2031年1月に10%になる予定です。ただし4%の根拠は、昭和41年度の調査で出た「月8時間の残業」という前提でした。

10%になっても、制度が想定している残業は月16時間です。1日あたり48分。実態との差が埋まるかどうかは、各自で判断してください。給特法と教職調整額の仕組みは教員に残業代が出ない理由と5%で増えた給料で詳しく書いています。

民間と比べるときの落とし穴

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「民間の平均は478万円だから教員は恵まれている」という言い方をよく見ます。この比べ方には、大きな問題が二つあります。知らずに比べると、辞めるかどうかの判断を間違えます。私はこの違いを知らないまま教員を辞めました。

民間平均478万円は比較対象にならない

国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与は478万円です。

ただしこの数字には、パートもアルバイトも契約社員も、全部入っています。フルタイムで働く正規の教員と並べて比べる数字ではありません。

同じ調査でも、正社員の男性に絞ると平均は609万円です。比べるならこちらです。

時間で割ると見え方が変わる

もう一つは時間です。年収657万円でも、働いている時間が2倍なら時間あたりの単価は半分になります。

年収の比較は、働いた時間で割らないと意味がありません。部活の朝練と土日が入る人なら、なおさらです。

自分の時間単価を一度計算してみてください。数字を見ると、判断の材料が変わります。

上がり方の形が違う

教員の給料は、勤めた年数に応じて毎年少しずつ上がります。急には増えませんが、急には減りません。

民間は会社と職種で大きく変わります。いまの金額ではなく、10年後にどうなっているかの形で比べたほうが実態に近くなります。

安定を取るか、伸びしろを取るか。ここは好みの問題です。

教員が年収を上げる三つの方法

教員が年収を上げる三つの方法を示すバナー画像

数字を見たうえで「もっと欲しい」と思ったとき、取れる手は多くありません。教員の給料は法律と条例で決まっているので、個人の努力で急に変えられる部分が少ないからです。現実的なものを三つ挙げます。どれが正解ということはありません。

年数を重ねて待つ

一番確実な方法です。毎年の昇給で、少しずつ上がっていきます。

ただし上がり幅は自分では決められませんし、途中で倍になることもありません。10年後の金額は、いまの先輩の給料を見ればだいたい分かります。

その金額で納得できるかどうかが、判断の分かれ目です。

管理職になる

教頭や校長になれば、給料は上がります。手当もつきます。

一方で、責任と勤務時間も増えます。いま忙しくて辞めたいと思っている人にとって、負担がさらに重くなる方向です。

お金のためだけに選ぶ道ではないと思います。

学校の外に出る

三つめが転職です。ただし、未経験の職種に移ると、最初は年収が下がることのほうが多いです。

私自身、教員を辞めて民間に移ったとき、条件を比べる材料を持っていませんでした。提示された金額が高いのか低いのかも判断できませんでした。いま振り返ると、そこが一番もったいなかった部分です。

外の相場を知っておく

辞めると決めていなくても、外の求人がいくらで出ているかは見られます。いまの657万円が高いのか低いのかは、比べる相手があって初めて分かります。求人を眺めるだけの使い方もできますし、在職中から相談できます。

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登録・相談は無料です。在職中から使えます。

年収より先に知っておきたいお金の話

年収より先に知るべきお金の話を示すバナー画像

ここまで年収の話をしてきましたが、正直に言うと、収入を増やすより先にやることがあります。私は教員を辞めるとき、お金のことを何も知りませんでした。その結果、辞めた後に何度も慌てました。同じ目に遭ってほしくないので、恥ずかしい部分も含めて書きます。

私は何も知らないまま辞めた

私は大学時代から教員志望で、就職活動をしないまま採用試験だけを受けて教員になりました。民間で働いたことも、自分で税金を払ったこともありませんでした。

給料は毎月勝手に振り込まれ、税金も社会保険料も勝手に引かれていました。自分がいくら払っているのかを、一度も確認したことがありませんでした。

辞めてから、それが全部自分に返ってきました。

住民税と社会保険という落とし穴

一番驚いたのが住民税です。住民税は前の年の収入にかかるので、収入が減った翌年に満額の請求が来ます。

健康保険と年金も、給料から引かれていたものを自分で払うことになります。金額を見て、これまでいくら天引きされていたのかを初めて知りました。

年収を上げることより、こうした出ていくお金を知るほうが先です。知識は、使った瞬間から効きます。辞めたあとに来る出費は教員が辞める前に必要な貯金額と3つの想定外の出費にまとめました。

最初に読んでおけばよかった一冊

お金の勉強をしようと思ったとき、何から読めばいいのか分かりませんでした。結局いろいろ買って、遠回りしました。

最初の一冊としては、下の本が分かりやすかったです。税金、社会保険、保険、投資といった話が、まとめて一冊に入っています。専門用語には必ず説明がついているので、私のような人間でも最後まで読めました。

楽天 item=18041936 cabinet=3780 isbn=9784023323780

辞めるかどうかに関係なく、読んでおいて損はない内容です。むしろ教員を続けるつもりの人のほうが、使う機会は多いかもしれません。

教員の年収に関するよくある質問

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相談を受けるなかでよく聞かれることと、私自身が調べていて迷ったことをまとめます。はっきりしないことは、はっきりしないまま書きます。

教員の初任給はいくらか

自治体と学歴で違うので一律には言えません。今回使った平均は41.5歳のものなので、初任給はこれよりかなり下になります。詳しくは自治体の給料表を見てください。

手取りはいくらになるのか

税金と社会保険料で、おおむね2割ほど引かれます。年収657万円なら手取りは500万円台前半が目安です。扶養の人数などで変わります。

教職調整額が10%になれば残業代の代わりになるのか

制度が想定しているのは月16時間分です。実際の残業がそれより多い人にとっては、足りない計算になります。

部活動の手当はいくらか

土日などに出た場合の手当が自治体ごとに決まっています。時間あたりで計算すると低くなることが多いので、自分の自治体の金額を確認してみてください。

私立のほうが給料は高いのか

学校によって差が大きく、公立より高いところも低いところもあります。今回の総務省データは公立のみが対象です。

まとめ

教員の年収は、小・中学校でおよそ657万円、高校でおよそ690万円でした。地方公務員の中では平均的な水準です。

ただし、その中に残業代はほぼ入っていません。月214円です。この一点を知らずに「公務員は恵まれている」と言われても、納得はできないと思います。

この記事のまとめ
  • 小中は約657万円・高校は約690万円
  • 数字がばらつくのは統計と手当の違い
  • 残業代は月214円・役所は32,828円
  • 民間平均478万円とは比べられない
  • 年収は働いた時間で割って考える

高いか低いかは、他人が決めることではありません。決めるために必要なのは、正しい数字と比べる相手です。この記事が、その材料になればと思います。

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この記事で使った一次資料

年収の金額は、上記の公表値をもとに当サイトで計算した試算です。制度上の確定値ではありません。

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